
「漢」と書いて「おとこ」と読む――。
屯ハムのドン・フライと言われるJバヤシ・ヒロキ氏こそ「漢」と呼ぶにふさわしい。
そのJバヤシ氏がにしう監督に直談判を申し入れ,近く極秘に一席設けられるようだとの情報を入手した記者は,春の嵐に桜舞い散る夜,会談の行われた都内の某料亭に潜入取材を試みた。成り行きによってはJ氏のマッハパンチと監督の火事場のクソ力(7000万パワー)とが真向からぶつかり合うことにもなりかねない危険な現場だったが,1時間に及んだ二人の「漢」による対談は張りつめた空気のなか最後まで静かに進行した。もちろん水面下では激しい火花を散らしていたことは言うまでもない。そのときのもようを一部紹介しよう。
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(1時間前から会場入りし,目を閉じたままじっと胡坐を組んで微動だにしないJ氏。約束の時間を5分遅れて到着した監督が軽いノリで着座するとJ氏は静かに切り出した)
J「監督,それじゃいかんのです……」
スグル「何? あ,俺とりあえずビールとカツカレー大盛ね」
J「……」
スグル「何々? 話あるんでしょ? 何よ,めんどくせぇな」
J「やる気はあるのか,と言っておるんです!」
スグル「やる気? 何の?」
J「勝つ気はあるのか,と言っておるんです!!」
スグル「え? 何? 『ビヨンドマックス』欲しいの? もぅ,欲しがりぃ~」
J「いや……そんな話では……」
スグル「じゃぁ何よ,めんどくせぇな」
J「これで良いのか,と言っておるんです!!!」
スグル「何,イライラ? お腹減ってるんじゃない? ほら,食べな。おいしそうなカニだよ」
J「カニ……」
スグル「毛ガニにタラバ,ズワイもあるよ」
J「そうっす! カニっす!! 自分,カニ売りまっす!!!」
スグル「ハムは? 『屯田ハム』」
J「それっす! 間違いないっす!! カニとハムっす!!!」
スグル「じゃあ,Jはスタメン落ちしてハム作りね」
J「…………」
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そのときJ氏は確かに両拳のメリケンを握っていたが,それを発射することは奥歯を噛んで必死に堪えていた。J氏の額には汗が光っていた。その広い心たるやまさに「漢」と呼ぶにふさわしい。
後日,J氏はあの会談を振り返って「今はもってる,ではなくて背負ってます」と力強く記者に語ってくれた。そんなJ氏がスタメン落ちするはずがない。今年のJバヤシは何かが違う,記者はそう確信した。